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ユーズド販売を始めた理由

イタリアセレクトショップがなんでユーズド販売を始めたの?

 

たまにお客さんから聞かれるけど、今はリユースブームなので案外受けいれてもらえることが多いなと感じています。

 

しかし、私がリユースの事業を始めた理由はブームからではない!

と声を大にして言いたい。

(それもちょっとはありますが、、、)

 

ちょっと長くてくどめですが、お付き合い頂ける方はぜひ<(_ _)>

 

主な理由は以下なんです。

 

①良いものを安く売りたい

 

人生の諸先輩方からよく聞く言葉が『高い食事が美味いのは当たり前』だと。

長く売れる飲食店は『安くて美味い』もしくは『価格妥当で美味い』ところだと。

なるほどと、私もそれを聞いてから商売はそうあるべきだなと思っていました。

じゃ自分がやってることはどうかというと、洋服も『高くて良いもの』は当たり前。

ファストファッションに勢いがあるのはまさに『安くて良いと感じるもの』を提供しているから。

スケールメリットがなしうることだから誰でもできることではないけど、それでもその精神世界は目指したい。

イタリアの服は『高くて良いもの』、これだけだと実は当たり前のことなんですよね。

仕入れ資金がある人なら受け売りの販売で誰でもできる。

でもそれができないのは、高額になりがちなイタリアファッションは『買うことを楽しんでもらう』世界を付加価値として提供することが何より重要だからだと思います。

そんなことを思いながら個人事業として十数年過ごしてきて、、、

 

②円安と流通コスト、海外のインフレ率から商品価格が高騰しすぎた

 

例えば2年前に39,000円で買えたニットが今は54,000円ほどします。4割ほど値上がっています。クオリティもブランド力もほぼ変わっていないのに、です。

報道ではあまり取り上げられないけど、どのインポート品の値上がりもまぁまぁえぐいです。

インポート品であるイタリア服ってそもそも原価が高いからどこの過程でも高騰分を吸収しなくてそのまま価格に反映されてしまうんですね。

そもそも経済って賃金が上がってそれに合わせて物価が上がるじゃないですか。海外ブランドも毎年値上げしてますが、経済が成長してる国でこれって普通で。

日本はそうじゃない世界が何十年も続いていて、それでも為替の変動とか国内の状況を鑑みて仕入れ元などが若干の調整を加えたりして価格はそれなりになんとか許容範囲内に抑えれていたのですが、ここ1年ほどの高騰はもはや災害レベル。

さらに、今年の冬にもう来年の秋冬の服の発注を行うので、経済が不安定で先行きが読みにくい今は特にリスクヘッジの為替予測をより円安方向に設定するからさらに価格高騰に拍車がかかる。

こうなると『買うことを楽しんでもらう』価値観を提供するのにも限界を感じるようになり、、、

 

③不景気を肌で感じるようになった

 

そうこうしてるうちに今度は不景気を肌で感じるようになりました。

賃金アップだの、ボーナス最高だの、金利アップだの、インバウンド過去最高だの、高級車が売れてるだの、ニュースでは好景気になっているような報道が多いですが、庶民の私にはまったくその逆しか感じられません。

そしていつの時代も贅沢品とされるイタリアインポートアパレルは不景気下で削除対象の上位にめでたくランクインしてる気がします。

高額商品が売れにくくなり、客単価も下がりました。

もちろん品ぞろえやアピール・販売方法にも問題はあると思うし、事故的に高額販売があがるときもあるけど、基本的にはきっと多くの服屋さんも同じように感じてるのではないでしょうか。

 

④似たような服がどこでも買えるようになった、服が増えすぎた

 

イタリアのブランド、ファクトリーブランドがネットをはじめ、SNSやネット販売を通じていろんなところで買えるようになって買う側の選択肢がとても増えました。

これはいいことだけど、売り手としては商品の差別化が複雑化し、難易度が上がったと感じます。

価格勝負で資本力のある大手にかなうわけもなく。そもそも価格競争をする業界でもないですし。

そして商品が増えた(目につく機会が増えた)ことで新鮮さを感じづらくなり、またファストファッションのクオリティが上がっているのも大きいなと。

服が増えすぎた→新鮮さや目新しさがない→より割高感を感じる、よろしくない状況だなぁ、、、

 

⑤そうなると、服好きの方が服を買い控えるのは自然の摂理

 

ファッション好きって本当にたくさんの服を買っている方が多いです。

なので基本的にはあえて今、割高感を感じる服を買う必要がないんですね。

お金や所得の問題ではなく、昨日10,000円で売っていた同じものが今日13,000円になってたら買うの躊躇するよねって話で。

しかも良くも悪くもイタリアファッショントレンドってすぐに大きく変わるものでもないし、一般的にはそんなに着たおすワケでもなく、数年前のものでもまったく古さを感じないものが多い。

無理に買ってもらうわけにもいかないし、高くなった商品を円安や流通コストやらで片づけて付き合いでお客様に押し付けるのも嫌だ、かといって奇をてらったような面白いアイテムなんてそうそう見つかるもんじゃない、、、

それこそ15年ほど前ならまだヨーロッパに就いて掘り出せるようなものもあったけど、今ではいいなと思うブランドや商品にはほぼ日本のエージェントがついているし、あっても何か問題が生じることが多いし、希少性を見出すのが難しい。

どうしたらwinwinの商売ができるか、、、

 

⑥そうだ!これまで買いためた服を売って新しい服を買う資金にしてもらおう

 

クローゼットの断捨離もできて新しい服が手に入る、これならwinwinじゃないか、と。

実はこれまでも自分が過去に売ってきた服が今どうなっているか気になることが多かった。

果たして自分が仕入れて売った服は正解だったのだろうか?と思うこともあり、でも怖くて聞けないことも多くて。

そしてジャケットを勧めている時によく聞くフレーズがあります。

『似たようなの持ってるんだよねぇ』

そうか、クローゼットにあるものを処分しないと新しいものが入ってこない法則か、と。

いや、同じ紺ジャケでも全然違うしって正直思うし、また断り常套句の場合もあるだろうけど、

基本的には人の心理ってそういうもんだろうというのは理解できる。

着なくなった服を買取店に持ち込む方も多いのですが、聞くと服がかわいそうなほどの値しかつかないことがほとんど。

私なら必要な人の元にお得感がある価格もしくは適正な価格で届けることができるし、自分がやってきたことの答え合わせができて、しかも買取店より高く支払うことができるんじゃないかと。

処分する服を見るとその方のファッションの動向が伺えたりもするので勉強にもなります。

 

そして新しい服の要望を聞いてそれに沿った商品を見繕って提案する。

我々セレクトショップは今年の冬に来年の秋冬の服の仕入れを行います。

トレンドや傾向を少し早く知ることができて、それを仕入れに反映させるのが商慣例なのだけど、その法則もなんとなくパターン化してきたというか、やりながらムリゲーだと感じる現実も正直あるんですね。

私のような小規模事業者は、やっぱり買う人が欲しいものに少し新しいテイストを加えたものを提案するのがお互いにとってハッピーじゃないかなと。

市場調査にリユース店を訪れると、正直古着感満載の服が圧倒的に多い。

古着商はやはり古着としてどうかを見る、私は新品と比べてどうかで商品を見る、その違いだと思いました。

どちらが良いか悪いかではなく、そういう目線で古着を扱う店って少ない気がして。

 

で、これでやってみよう!となったのがこのユーズド事業を始めた背景です。

 

ユーズド服の販売の経験はないのでヴィンテージとか何年モノの希少性だとか、マニアックな知識は持ち合わせていません。

それでも古物商の許可を取得し、25年以上に渡ってファッションに触れてきていろいろ知っていることもあるし、本当にありがたいことに今のところ出どころや使用背景が分かる状態のとても良い商品が集まっています。

新品商品と並べていると、ユーズドか新品か尋ねられるほどです。

本当にありがとうございます!

まだ一ヵ月程度で認知度は地を這っていますが、続けていけるよう根気強く頑張ります!

まだまだ手探り状態で一人で迷走しながらやっているので、もしこうして欲しい、こうしたらどう?などアドバイスやご意見など頂けると大変ありがたいです<(_ _)>

 

服の委託販売については、当店購入以外のものでもOK、また売却後に現金でのお支払いも可能ですのでお気軽にどうぞ。

 

長きに渡り最後まで目を通してくださった方に深く深くお礼申し上げます<(_ _)>

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